“Ça fait longtemps de vous voir! “ おひさしぶりの美術館探訪
- 2020年08月21日
- La Nouvelle de Paris
パリの夏は例年もう少し過ごしやすかったと思うのですが・・。近年は気温も湿度も高く、クーラーなんて自宅にもちろんありませんので、扇風機と水シャワーで凌ぐ日々。。暑さで眠れない夜が続きました。
先日は、およそ半年以上ぶりに美術館へ。Jardin des Tuileries内に位置する、 Le Musée des Arts Décoratifs(MAD/装飾美術館)に行ってまいりました。ルーブル美術館のすぐ目の前で、ずっとそこにあることはわかっていましたが、実は訪れるのは今回が初めて。誘ってくれた友人に感謝です。
今回は企画展として、 HARPER’S BAZAAR, PREMIER MAGAZINE DE MODEの展示がありましたので、ご紹介します。
こちらの企画展は、1867年にニューヨークで創刊した世界最古の女性向けファッション雑誌であるハーパーズバザーにスポットライトを当てたもの。
ハーパーズバザーといえば、はじめてアンディー・ウォーホルの作品を掲載し、主要なファッションブランドのコレクションをはじめて誌面で紹介したそう。(訪れるまで、恥ずかしながら存じ上げませんでした。)
その雑誌に起用された、写真家や画家たち。例えば、マン・レイ、サルバドール・ダリ、リチャード・アヴェドン、アンディ・ウォーホル、ピーター・リンドバーグなどが、この雑誌の美学に大いに貢献したことを表すような展示の数々を間近に見ることができます。
同美術館で一つの雑誌に特化した単独の展覧会が開催されるのは、世界初とのこと。中に入ればたちまち誌面の旅に出掛けることができる。
Harper’s Bazaar, 2 novembre 1867
Gravure. Illustr. Heloïse Lenoir
こちらは創刊当時の挿絵のひとつ
1867年にニューヨークでハーパー&ブラザーズによって創刊された「ハーパーズバザー」は、ファッション、社会、芸術、文学の分野で女性を教育することを目的としています。
ヨーロッパのファッション誌の伝統の中で、女性のための独自の取り組み。
初代編集者のメアリー・ルイーズ・ブースは、アメリカ南北戦争中の被差別部落解放主義者であり、連邦政府の支持者でもありました。
20世紀には、ピカソ、コクトー、マティスなど、本誌を取り巻くフランスの芸術家たちが数多く登場。バザーでは、ジャクソン・ポロック、フランク・ステラ、ウィリアム・バロウズなどのアメリカ派の人物にも記事を提供しています。
Harper’s Bazaar, mars 1896
Illustration de William H. Broadley
© DR
いまからおよそ125年前の表紙。
内容を超えて、雑誌の豊かさを構成するのは、グラフィック構成の美的側面。
ファッションイメージのバランスとその批評の鋭さは、ハーパーズバザーをグラフィックデザインとファッションの歴史の中で参考にしています。
偉大なファッションデザイナー:シャルル・フレデリック・ワース、ポール・ポワレ、ジャンヌ・ランバン、マドレーヌ・ヴィオネ、エルサ・キアパレリ、クリスチャン・ディオール、クリストバル・バレンシアガら、その神話の一部はバザールの影響を大いに受けたそうだ。
こちらは宇宙をテーマにした衣装。アポロ計画のあった1960年代。
実際に撮影で使用された衣装。
また、デザイナーと芸術家のコラボレーションもいまでは珍しい事ではありませんが、この当時からあったことに驚きました。
アンディー・ウォーホルの描くイブ・サンローラン(1972)
1958, 7月の見開き
1958, 2月の見開き
2000年代に入ってからの誌面。写真と対比してTypographyのデザインが目を引くのが印象的。
どのような時代においても、ファッションには永遠の憧れと夢が詰まっている。そう感じさせてくれる展覧会でした。
展覧会は、来年2021年1月まで。
Richard Avedon pour Harper’s Bazaar, décembre 1959