“Journées européennes du patrimoine” 欧州文化遺産の日は外へお出かけ。
- 2019年10月07日
- La Nouvelle de Paris
あんなに暑かった夏はどこへやら。あっという間にぐっと気温が下がり、最高気温は15度にも満たない日が続いています。天気の良い日にはカラッと秋晴れが見れたり、綺麗な夕日が見れたことも。
さて、9月3週目の土曜日曜は毎年Journées européennes du patrimoine(欧州文化遺産の日)と定められ、普段は一般公開されていない場所に出入りのできる貴重な日です。
今年は芸術と娯楽がテーマとなり、劇場(オペラガルニエなど)やスポーツ施設などが公開されていました。
一般公開されるのは土日のみ、どこもかしこも長蛇の列に並ぶこと必須なので、わたしは今回1箇所に絞り、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関、United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization U.N.E.S.C.O.)に行ってきました。
ユネスコの名前は日本でもよく聞くかもしれませんが、実はパリに本部があるということはこれまで知りませんでした。ユネスコとは、各国の教育、科学、文化の協力と交流を通じて、国際平和と人類の福祉の促進を目的とした国際連合の専門機関とのこと。例えば、年々人口が減っている地域独自の言葉をなくならないよう記録していくことや、未来のためにも残していきたい自然を守る活動など、多岐にわたっています。
ユネスコパリ本部は、パリ15区に位置しており、広い中庭からはエッフェル塔を望むことができます。
右がわにある建物が本部、設計は3名の建築家Marcel Breuer、Pier-Luigi Nervi、Bernard Zehrfussのデザインにより1958年に完成したそう。
こちらのスペースは UNESCO Meditation Space(瞑想空間)といって安藤忠雄氏による建築。コンクリートの円筒状の構造をしています。中は空洞になっており、床に使用されている御影石は、1945年8月6日の広島原爆で被爆した原爆ドーム近くの橋のものなのだそうです。
そして中庭にある日本庭園はイサムノグチ氏による設計。
© Jean-Pierre Dalbéra
国際機関でこういった建築やお庭を見ることができるのはとても嬉しいことです。
さらに建物の中には大きなカンファレンスルームがありました。1350席あるそうで、1974年に凱旋門近くのパレ・ド・コングレ国際会議場が出来るまではパリで最大の会議場だったそうです。
ユネスコの歴史と役割を説明するビデオが流れ、左右には6カ国同時通訳する小さな部屋があります。
そしてカンファレンスルーム横に大きな壁に描かれた壁画は、ピカソによる1958年の作品、「イカロスの墜落」。
第一会議場前のホールの80平米の壁全面を覆う40枚の木でできたパネルから構成されています。ピカソによれば、泳いでいる人々をモチーフにしたとのこと。青い部分は海。人々の生の力強さなどを描いているという。
普段入ることのできない施設内に自由に出入りできることは、様々な発見や学びをもたらしてくれますが、それと同時に背景までも知ることのできる貴重な勉強の機会となりました。
“Journées européennes du patrimoine” は毎年9月3週目の土曜日曜開催です。