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芸術の秋、到来 “Concert d’automne”

いつのまにかコートに身を包む季節になりました。

それと同時にアートや音楽のイベントも秋に新しいシーズンを迎えます。

 

先日は久しぶりのオペラガルニエにてコンテンポラリーダンスを鑑賞してまいりました。

演目は半年前から楽しみにしていた、杉本博司とウィリアムフォーサイスによるBallet de L’opéra。

杉本博司は写真家としてフランス国内で評価が高く、昨年はヴェルサイユ宮殿にて個展を開催。しかし、彼のアートワークは写真のみならず、彫刻、建築、舞台芸術など多岐に渡ります。

今回彼がディレクションをつとめたのは、「鷹の井戸」というアイルランドの詩人ウィリアム・バトラー・イェイツによる幕物の戯曲。この作品はもともと日本の能楽にインスピレーションを受けて書いた作品。そのため舞台にはオペラ・ガルニエの誇るダンサーに加え、日本の能楽師を迎えた作品となりました。さらに音楽・空間演出を担当するのは池田亮司。そして衣装にはリックオーウェンスを起用した、今年大注目の演目でした。

 

光、音、衣装、空間、全てが新しく、ダンス鑑賞というよりはガルニエでアートを鑑賞しているような感覚に。もしかしたら日本の誇る能楽が進化する過程なのかもしれない、という場面に遭遇した気がしました。1

最後挨拶をする能楽師とダンサーたち

 

 

観客の反応も、新しいものを目の当たりにし、感動というよりは驚きの反応が大きかったように思えます。

 

間の休憩にはもちろん前室へ。ガルニエに来たら必ずと言って良いほど訪れる特別なお部屋です。いつ来てもいつ見ても、この部屋の美しさは特別です。

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第二部はウィリアムフォーサイスによる、Blake Works 1。この作品は英国のポップ音楽の作曲家ジェームス・ブレイクのアルバム「The Color in Anything」から選ばれた7曲を使い、男女2人の踊り手によって展開される踊りパ・ド・ドゥが二つあるクラシックな振付でしたが、ヒップホップも取り入れられ、豪華絢爛なガルニエとのコントラストもあいまって、非常に楽しい舞台となりました。

フォーサイスは以前も見たことがありますが、彼の創り出す世界は繊細かつ大胆。見る人の目を奪うような美しい舞に酔いしれた夜でした。

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衣装は淡いブルー、柔らかな光に包み込まれて踊る若いダンサーに目は釘付け

 

あっという間の2時間、前半は新しい発見を、後半は美しさに見惚れ、大満足の一晩でした。

 

 

また別の夜には、エレクトロバンド、Brandt Brawer Flickのコンサートへ。

彼らはエレクトロというジャンルでありながら、ドラムやキーボードなどアコースティックに楽器を使いながら音を作り上げる所に面白さがあります。

今回は10区カナルサンマルタン運河近くにあるイベント会場、Point éphémèreへ。

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スティーブライヒのようなミニマル音楽を追求し続ける彼らの作り出す音に包み込まれながら、体を揺らさずにはいられません。

 

音楽に浸る秋のパリの夜。寒くても外に出かける価値はあります。

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